PET用関連装置:PET樹脂除湿乾燥装置

先進的な、PET樹脂二段式乾燥ホッパー

PET樹脂の分解が引き起こされない160℃以下での処理により、
最適な乾燥を実現しています。

用途

PET成形

先進的なPET樹脂二段式乾燥ホッパー

  • 1. 負荷熱量が少ない。(20%低減)
  • 2. 成形中に何らかの異常が発生し、乾燥機停止時でも主乾燥ホッパー内の樹脂温度が130℃に維持している為、PET樹脂の物性劣化が生じません。

PET樹脂の乾燥ホッパーでは、投入された原料樹脂チップが、下方から対向して流れてくる乾燥エアーと熱交換しながら下方に移動する間に、チップ温度が上昇し内部から拡散して出てくる水分が乾燥エアーに奪い去られることにより乾燥が進行します。

乾燥エアーは、ホッパー内を上昇している間に、熱を原料樹脂チップに奪われ、ホッパー上方に移動するにつれて温度が低下します。

この乾燥エアーの温度低下の度合いは、乾燥エアーの流量によって変わってきます。流量が大きいほど、ホッパー上部での乾燥エアーの温度の低下は小さく、チップの昇温と乾燥には有利に働きますが、L/Dが大きいホッパーの場合、線速が大きくなり、0.6m/sec以上の線速になりますと偏流が起きてしまいます。ホッパーのL/Dは原料樹脂チップのピストンフローを実現する為の重要なファクターです。

即ち、最適なプロポーションのL/Dを保ちながら、原料樹脂チップに十分な熱量を与え、かつ偏流を起こさないような最適な乾燥エアーの流量にすることは乾燥ホッパーにとって重要な条件となります。

大阪冷研では、このような課題を克服する為に、乾燥空気がホッパーの下部と中間部から入れる二段式の乾燥ホッパーを採用しました。
この事により、ピストンフローがより重要なホッパーの中間部から下部のピストンフローを実現しながら、ホッパーの下部から上部まで、きめの細かい温度勾配が作れるようになりました。
また上部エアー吹き込み口より上のホッパー径が大きくなりますので高さ方向の寸法を小さく抑えることが出来ます。

また上部吹き込みエアーは、排気エアーの熱を逃がさず循環させるシステムにしていますので、20%程度の省エネが実現しています。

乾燥温度の重要性

PETの乾燥温度は、より高温な程チップ内の水分の拡散速度が速くなり、従って乾燥温度も速くなる。しかし、限度を超えた温度においては、熱、酸素、及び水分によるPETの分解や劣化が引き起こされる。これらの分解現象の反応速度は温度依存性であり、温度の上昇と共に反応速度は増加し、特に加水分解は温度が150℃を越えた所で(非常に穏やかであるが)起き始め、160℃以上の温度では著しく変化し、温度の上昇に伴なって速度は急速に増加する。溶融粘度や固有粘度の低下は樹脂の機械的強度が劣化したことを示し、また、カルボキシル基は熱分解、酸化分解及び加水分解が起こった場合に増加し、カルボキシル基は酸触媒としてのPETの加水分解を促進させるので、後々のPETの加水分解安定性に影響を与える。以上のことからPETの乾燥は、160℃以下で実施する必要がある。

目的

成形機の加水分解防止のために。
加水分解→重合度低下、カルボキシル基の増大。水1分子がPETの分子鎖1ヶ所を切断する。(同一水分量では、高い「η」ほど「η」低下が大。)PETは融点(253℃)より上の温度で存在する水分は、急速にポリマーを加水分解(ポリマーチェーンを切断)させる。その為、「η」とそれに関連する物理的特性を低下させる。実験では、「η」が0.76のPETは、溶融PETに残留している水分が16ppm増す毎に「η」が0.01ずつ低下する。

PETの乾燥は水分吸収プロセスと逆の現象であり、吸収された水分はペレットの中心部の方まで拡散する。この効果を逆にする事で、吸収したペレットは極度に乾燥した状態に置き、外方向への拡散を加速するために加熱するが、最高乾燥温度には限界がある。

第一:
加水分解は温度依存性であり、この現象は固体PETの中では、150℃の温度で(非常に穏やかだが)起き始め、温度と共に速度は増加していく。

第二:
過度な乾燥温度は、ポリマーの熱分解に繋がり、この結果は、アセトアルデヒドを含む好ましくない最終製品を作る事になる。また、アセトアルデヒドの溶融時の分解反応は、酸化アンチモン(Sb2O3)触媒より、ゲルマニューム(GeO2)触媒の方が分解反応は大。一方、物理的変化では目に見える現象として発色性化合物が生成され、黄色か現象を発生する。

常に安定した残留水分のチップが得られる。
この装置では安定した露点や乾燥空気を送る事は勿論、バラツキのない滞留時間を実現し、安定した残留水分を得るために、高度な技術的工夫を凝らしている。

均一性

均一乾燥は乾燥空気が安定した低露点でしかもホッパー内部での流れは面に対し同一流速でなければならない。均一空気の風量(面風速)は、0.6m/sec、at 150℃、U値(総括熱伝達率:kcal/m2.h.℃)が大きくとれる。若しくは、最低限の必要条件として、樹脂1kg、1時間当たり約0.06m3/min.kg/hで乾燥する必要がある。弊社のシステムでは下部コーン部とダイヤモンドコアの間で旋回流が生じ、樹脂は内部コーン部に沿って落ち、空気はダイヤモンドコアの淵に沿って流れる事で、樹脂が流動化する。樹脂全体が持ち上がり(見かけ比重が小さくなる)空間部分が多くなり、空気抵抗が小さくなることで乾燥空気が断面積に対し均一な流速。これらの作用で樹脂に破損がなく、ピストンフロー(均一乾燥:樹脂の滞留時間の変動幅を出来るだけ小さくする事。)させながら樹脂を排出することができる。

微粉体と微細切片

微粉体、ひげ等は熱処理の利き過ぎ、異常高融点、押出機での送り性の不良(形状的)になり、局部的な熱履歴の違いは、成形性、製品光沢等の低下。微小部分の不透明化等の原因になる。微粉体、微細切片等の集塵対策は、樹脂間の空間部分が多くなり空気抵抗が小さくなる(見掛比重が小さくなる。)事で微粉体、微細切片等は乾燥空気と共に排気され、バッグフィルターで集塵される。

モレキュラシーブローター

モレキュラシーブ吸着剤の壁により成るハニカム構造は、低露点の領域においても水分吸着能力が衰えないので、低露点の空気条件を作り出す事が出来る。ハニカム構造は、吸着剤と処理空気との接触面積が大きく、効果的に水分を吸着する事ができ、然も安定した除湿空気流を作り出す事が可能。又、高温で再生を行なっても劣化が少ない特徴を持っており、メンテナンスフリーで、持続力を発揮する。

乾燥能力

乾燥空気風量に十分な余裕。
余裕の-50℃以下の露点空気を発生する能力を持っており、チップの残留水分率を非常に低くする事が出来る。実験結果では、乾燥温度150℃で残留水分が10ppm以下になって居る事を証明している。

熱分解・酸化分解・加水分解

PETの熱分解、酸化分解、加水分解は、同じ温度に於いては、酸化分解は熱分解の約2倍の速度で進み、加水分解は酸化分解の約5000倍の速度で進むと言われている。

PETの分解速度: 熱分解<<酸化分解<<加水分解

この3つの分解反応は同時並行に起こるため、きわめて複雑である。

熱分解

乾燥温度に於いては、熱分解の影響は比較的小さいと言われているが、何等かのエラーによる過度の温度上昇がある場合には起こる可能性があり、カルボキシル末端基の増加と同時に、アセトアルデヒドを含む好ましくない分解生成物を生じる。

酸化分解

160~180℃より出現する。熱酸化分解は熱分解で見られる溶融粘度及び固有粘度の低下、カルボキシル末端基の増加や重量減少が起きる。

加水分解

PET樹脂は、分子鎖に加水分解を起こしやすいエステル結合を含んでいる。加水分解反応とは、樹脂中の水の分子がエステル結合の部分で分子鎖を切断する現象。分子鎖が短くなり、重合度が低下する事により、溶融粘度及び固有粘度が低下。カルボキシル末端基の増加も起こる。この現象は160℃位から反応速度が増加する。

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